今日の文章 2025.4

『このたび、面白い経験をさせて頂きました。ありがとうございます。』

80代の女性Aさん。
神経心理検査の書字課題より。

もの忘れ外来での神経心理検査(認知機能検査)は侵襲性が高いと言われます。実際、記憶力の低下などから不安を抱えている方に、そうした能力の衰えに直面するような課題をやっていただくわけですから、苦痛を感じる方も少なくありません。
検査は、記憶に限らず、様々な認知機能を評価するため、多くの課題を組み合わせて行い、30分から1時間と、長い時間も要します。
検査をするこちら側も、相手を試すようで、申し訳ないような気持ちになりますし、実際に、検査に抵抗を示したり、拒否される方も一定数いらっしゃいます。怒ってしまって、中断せざるを得ないこともあります。

ただ、私が十数年たくさんの方に検査を実施してきて実感し、驚くのは、想像以上に検査を楽しまれる方が多いということ。
もちろん、抵抗感や嫌悪感を抱えながらも表面上にこにこと取り組んでくださる方もいらっしゃいますが(そういう方はだいたい分かります)、本当に面白がって、関心を持って、楽しみながら課題に取り組まれる方のなんて多いこと!
当然、こちらも相手が嫌な気持ちにならないよう最大限の配慮はしますが、それでも、です。
「こんなこと、初めてやったけど面白かった」「楽しかった」
そんな言葉に、心からほっとしますし、私もどんなことにも興味を持って楽しめる人でありたいとな、いつも思わされます。

春の歩道の植え込みは、いつにも増してカラフル。